毎年10町内ほどのお神輿が集まり、賑やかに盛り上がる地区のお祭り。
そんなお祭りの光景を、町内の会社が動画撮影してDVDにしてくれていたのですが、見ている人はごく一部でした。
「せっかくだから、もっと町内の人にも見てもらえるといいな」
そんな一言から、気づけば私が“映像係”のような立場に。
どうすればもっとみんなに見てもらえるか、ちょっとした工夫を重ねていくことになりました。
きっかけ
町内のお神輿の映像は、地元の会社が毎年きれいに撮って、タイトルや効果音、特殊効果もいれ、とても素敵なDVDで残してくれていました。
ただ、完成したDVDを受け取れるのは町内会活動をしている一部の人だけ。
ほとんどの人は存在すら知らず、せっかくの映像もあまり活かされていませんでした。
「みんなが見れたらいいのに」
そんな小さな気づきから、少しずつ動き始めました。
最初の工夫:DVDをダビングして配布
最初は、希望者に自分がDVDを複製して配る方法を提案しました。
作業自体は単純ですが、思ったより時間がかかります。
- 希望者を調べる
- 必要なDVD枚数を購入する
- DVDをPCに取り込む
- 一枚ずつDVDをコピーする
- DVDのラベルを印刷する
- 完成したDVDを希望者に手渡しで配布
最初の数枚は楽しくやっていたのですが、20枚を超えると仕事なのか修行なのか、ちょっと大変。
そして、配布していると
「もう5枚いいかな」
と、お願いされることも。
喜んでもらえた一方で、「これを毎年はきついな」と感じました。
この方法を2年間やったのでした。
次の工夫:YouTubeで共有
時代の流れで町内にグループLINEができました。
そこで、お神輿のDVD動画を「YouTubeで公開してみては?」と考えました。
動画のURLを町内のグループLINEに貼れば、多くの人がスマホで気軽に見られます。
再生ボタンを押すだけで、お神輿の映像がすぐに流れる。
公開範囲は「URLを知っている人限定公開」としました。
配布の手間もなく、思っていた以上に好評でした。
YouTubeだと高齢の方はスマホやPCの操作のハードルで視聴が難しい?と思い、DVDも作成して配布が必要と考えていました。
けれども、YouTubeは高齢の方も日常で孫とか旅行の映像を共有するなど使われていて、問題なかったのです。
YouTubeはすごいメディアだなあ、と感じました。
さらに一歩:QRコードで広げる
町内のお神輿には、町内の飲食店の常連の方も参加されています。
その方達は町内に住んでいないので、町内のグループLINEには参加されていません。
そこで、動画のQRコードをお店に置いてもらえばどうかと考えたのです。
ただQRコードを印刷するだけでなく以下の工夫をしてみました。
- お神輿の映像とわかるように、Canvaでポストカードのようなデザインに
お祭りの雰囲気に合うよう、お神輿の写真を背景に入れました。 - QRコードは、背景を画像にできるアプリで少しおしゃれに
「こんなQRコードもできるんだ」と、それだけで話題に。 - カウンター、テーブルに起きやすいL版サイズに
- L版写真紙に印刷しパウチ加工
飲食店だと濡れてしまうこともあります。
町内の飲食店に置かせてもらうと、常連さんたちも「これ見たよ」と話題にしてくれるように。
お神輿の映像が、ちょっとした地域のコミュニケーションのきっかけになりました。
結果と反応
「どこでもスマホで見られるのがうれしい」と多くの声をもらいました。
特に町内の飲食店では、お客さんがスマホで映像を見ながら「ここ俺だ!」と盛り上がる光景も。
お神輿の話題が、自然に広がっていくのを見て、「やってよかったな」と心から思いました。
最近では、町内の懇親会でも映像を見ながら「神輿の照明をもっとこうしたらどうだ」「次はこんな装飾を付けよう」と、アイデアが飛び交うように。
映像がきっかけで、次のお祭りに向けた創意や工夫まで生まれています。
難しいことは何もしていないけれど、映像を共有するだけで町内のつながりが少し温かくなった気がします。
誰かの『やりたい』を形にする
DVDのコピーからYouTubeで共有するまでには、いくつかの小さなステップがありました。
- DVDをPCに取り込む
- DVDに焼いて、ラベルを印刷
- DVDをMP4に変換
- MP4をYouTubeにアップ
- QRコードを作成
- ポストカードを作成
それぞれにちょっとしたハードルはありますが、特別に難しい作業ではありません。
ただ、こうした工程は、知らない人にとっては「何から手をつけたらいいかわからない世界」でもあります。
そんなときに、少しでも自分のIT経験が役に立てるならうれしい。
やりたくてもできなかったことを形にする――
そのお手伝いができることに、大きな喜びを感じました。
まとめ
今回の取り組みで感じたのは、技術そのものより「誰もが見られる工夫」を考えることの大切さです。
DVDをダビングした頃は、作業の大変さばかり気になっていました。
でも、YouTubeで共有し、QRコードで広げたことで、「便利になった」「見やすくなった」と喜んでくれる人が増えました。
今回のYouTubeの共有では、みなさんの目の前の笑顔が一番の成果です。
ITの力を“温かい方向”に使う心地よさ、満足感を感じました。
難しいことよりも“ちょっとした工夫”を重ねて、これからも身近なITで誰かの笑顔を増やしていきたいです。



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